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分数の割り算はなぜ逆数をかけるのか|4つの説明と例題・検算

分数の割り算は、わる数の分母と分子を入れかえた逆数をかけて求めます。なぜそうなるのかを「わる数を1にする」「通分して割る」「1あたりの量」「かけ算の逆」の4つで説明し、例題と検算で確かめます。

内容の確認日:2026-10-30

結論:わる数に逆数をかけると1になるから

分数の割り算は、わる数の分母と分子を入れかえた数(逆数)をかけて計算します。たとえば3/5÷2/7=3/5×7/2=21/10です(この記事では「5分の3」を3/5と書きます)。理由を一言でいうと、わる数2/7に逆数7/2をかけると1になり、「わられる数とわる数に同じ数をかけても商は変わらない」という割り算の性質を使えば、どんな分数の割り算も「○÷1」の形に直せるからです。

この計算は小学6年で習います。文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)は、6年の内容に分数の乗法・除法の意味と計算を置き、「内容の取扱い」で、逆数を用いて除法を乗法の計算としてみることを扱うとしています。わる数とわられる数に同じ数をかけても、同じ数で割っても商は変わらないという性質は、4年の整数の割り算の「内容の取扱い」に示されている内容です。

逆数の例
数逆数かけると
2/77/22/7×7/2=1
3/44/33/4×4/3=1
5(=5/1)1/55×1/5=1
1と1/2(=3/2)2/33/2×2/3=1
0.6(=3/5)5/33/5×5/3=1

説明1:わる数を1にする

割り算には、わられる数とわる数に同じ数をかけても答え(商)は変わらない、という性質があります。整数なら、6÷2と、両方を3倍した18÷6は、どちらも答えが3です。この性質を分数の割り算に使います。

3/5÷2/7の両方に、わる数の逆数7/2をかけると、(3/5×7/2)÷(2/7×7/2)=(3/5×7/2)÷1になります。1で割っても数は変わらないので、答えは3/5×7/2=21/10です。どんな分数c/dでも、逆数d/cをかければ1になるので、a/b÷c/d=a/b×d/cがいつでも成り立ちます。ここでb、c、dは0でない数です。0には、かけて1になる数がないので逆数がありません。

わる数を1ではなく整数にしてもかまいません。両方に7をかけると、(3/5×7)÷(2/7×7)=21/5÷2となり、分数÷整数の計算になります。21/5を2でわると21/10で、同じ答えです。学習指導要領解説(算数編)も、わる数の分母を両方にかける方法と、逆数をかけてわる数を1にする方法の両方を例として示しています。

説明2:通分してから割る

分母をそろえると、分数の割り算は「同じ大きさのまとまりが何個分あるか」という整数の割り算になります。3/5と2/7を分母35で通分すると、3/5=21/35、2/7=10/35です。1/35を1つ分とみれば、21個分を10個分でわることになるので、答えは21÷10=21/10です。

この方法は、逆数を知らなくても割り算の意味から答えを出せる点が強みです。一般に、a/b÷c/dを分母b×dで通分すると、(a×d)/(b×d)÷(c×b)/(d×b)となり、分子どうしをわって(a×d)÷(c×b)=(a×d)/(b×c)です。これはa/b×d/cと同じ式なので、通分による説明から逆数をかける手順が導けます。

説明3:1あたりの量で考える

「2/7dLのペンキで、板を3/5m²ぬれました。このペンキ1dLでは何m²ぬれますか。」という問題は、1dLあたりの量を求めるので、式は3/5÷2/7です。2/7dLは1/7dLの2つ分なので、まず1/7dLでぬれる面積を求めると、3/5を2でわって3/10m²です。1dLは1/7dLの7つ分なので、3/10×7=21/10m²になります。

この手順は「わる数の分子2でわって、分母7をかける」ことで、7/2をかけることと同じです。逆数をかける計算は、「わる数の1つ分あたりを求めてから、1あたりに直す」という2段階を1回にまとめたものだとわかります。単位のついた量で考えると、答えがわられる数より大きくなる理由も見えます。1dLは2/7dLより多いので、ぬれる面積も3/5m²より広くなるはずで、21/10m²(2.1m²)はたしかに3/5m²(0.6m²)より大きくなっています。

説明4:かけ算の逆として確かめる

割り算はかけ算の逆です。3/5÷2/7の答えを□とすると、□×2/7=3/5が成り立ちます。この式の両側に7/2をかけると、左側は□×2/7×7/2=□×1=□、右側は3/5×7/2です。したがって□=3/5×7/2=21/10となり、ここでも逆数をかける形が出てきます。

この考え方は、そのまま検算の方法になります。分数の割り算の答えが出たら、答え×わる数を計算して、わられる数に戻るかを確かめます。21/10×2/7=42/70=3/5なので、正しいとわかります。逆数をかける手順を覚えていても、どちらの分数を入れかえたかを間違えることがあるので、かけ算1回でできる検算は確実な確認方法です。

例題と検算、よくある間違い

分数の割り算の例題(検算は答え×わる数)
問題計算答え検算
4/9÷2/34/9×3/2=12/182/32/3×2/3=4/9
5/6÷5/85/6×8/5=40/304/34/3×5/8=20/24=5/6
9/10÷3/59/10×5/3=45/303/23/2×3/5=9/10
2÷4/52/1×5/4=10/45/25/2×4/5=2
1と1/2÷3/43/2×4/3=12/622×3/4=3/2
0.6÷3/43/5×4/3=12/154/5(=0.8)4/5×3/4=12/20=3/5
3/5÷23/5×1/23/103/10×2=6/10=3/5

9/10÷3/5のように、かける前に約分できる場合は、9/10×5/3の9と3、5と10を先に約分すると(3×1)/(2×1)=3/2となり、大きな数を扱わずに済みます。帯分数は、先に仮分数に直してから逆数にします。1と1/2を、整数部分を残したまま分数部分だけ入れかえるのは誤りで、3/2に直してから2/3にします。学習指導要領解説も、分数の乗法・除法では帯分数より仮分数で表すほうが計算を進めやすいとしています。

もう一つよくある間違いは、わられる数のほうを逆数にしてしまうことです。3/5÷2/7を5/3×2/7=10/21とすると、正しい答え21/10の逆数になってしまいます。入れかえるのは「÷」の後ろにあるわる数だけです。また、わられる数が0より大きいとき、わる数が1より小さい(0より大きい)なら答えはわられる数より大きくなり、わる数が1より大きいなら小さくなります。わる数2/7は1より小さいので、答えの21/10が3/5より大きいのは見通しと合っています。

参考資料

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